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▼平井堅「バイマイメロディー/hug」のふっきれた新境地
[2006年06月22日(木) ]

 

 平井堅は、2005年は「POP STAR」だけ、2006年もこの「バイマイメロディー/hug」が最初のシングルと、シングルの発売が少なくなっているが、その間に曲作りに関して、何かが大きくふっ切れた感じがする。

 まず「POP STAR」も「バイマイメロディー」もアップテンポで、かげりをほとんど感じさせない明るい曲に仕上がっていることである。言いかえれば「POP」なのだ。 「POP」とは、「POPS」の語源が “popular” であるように、一般の人々に受けて流行するような、人気が出そうな、という感覚である。

 すぐメロディラインが心に刻まれ、それでいてすぐ忘れられない、多くの人が歌声やリズムも含めて心地よいと感じる、つまりは「ヒット曲」の条件でもある。

 だが、そんな曲はつまらない、一部の人にしか評価されなくても、わかりにくくても、ハイレベルな曲を書くべきだ、という意見も根強くある。たぶん平井堅は、心の中にくすぶっていたそういう「高級志向」を振り切って、「POP」な曲も書きたいように書き、歌いたいように歌おう、と思えるようになったのではないか。

 それにしても「バイマイメロディー」はイントロからして、疾走感と躍s動感にあふれていて、なめらかに曲の世界に入っていける。

 歌詞は失恋したあとの想いをつづっているのだけれど、その恋愛をかてにして、大きく成長できた「僕」が、あふれんばかりの希望を胸に「生まれ変わ」ろうとしている。

 イメージとして初夏しか思いつかないくらい、さわやかでウキウキするメロディとともに、しんどくてもやっていけそうな気がしてくる。 やはりこうして「バイマイメロディー」を説明してみると、平井堅が何か自分をしばっていたものを手放した、あるいはしばられていたものから解放された、としか思いようがない。

 特に「POP STAR」からだいぶ間が空いたのに、再び「POP」で来ることに意味がないはずがない。

 ポップスを作って歌っていいじゃん! その通りなのだ。世界が広がった彼は、もともと表現力は一級品なのだから、これからさらにさらに飛躍しそうな気がする。

 ただそれにセールスが伴うかどうかはやや不安だ。今までのファンとしては、平井節全開の「hug」[(ぎゅっと)抱きしめる]の方がしっくり来るかもしれない。

 私も「hug」するのは好きだ。相手の体温を感じられる、ということがどれだけ安心し、心を癒してくれることか。世界では、恋愛関係になくても親愛の情を表すために「hug」する習慣があるところがたくさんある。

 ただ実はこの「hug」にしても、今までと微妙に違う「官能」を歌い上げている。性欲と愛情に関して、突き抜けて心のおもむくままに描く、という新境地に達しているのだ。だから「明るい」。

 いやぶっちゃけて言えば、「hug」する時の言葉にしづらい一体感→快感を巧みに表現した、「エロい」歌だとさえ思ったりする。

 これから今まで以上に平井堅に注目してしまいそうだ。「POP STAR」「バイマイメロディー」路線をもっと深めていってほしいな。PV のようにとんでもない世界へ連れていってくれそうだし。楽しみが増えたね!

 

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