▼ありえない倖田來未の売り方
[2005年10月26日(水) ]

 

 今どきのレコード会社は、レコードを買ってくれる「お客様」のことをなんだと思っているのか。

 いよいよ人気が本物になってきた倖田來未が、12月7日の「you」から来年の2月22日まで、12週連続でシングルを発売するという。「史上初」とメディアはあおっているが、ファンにとってどうなのか。

 1枚1050円と仮定すると、12枚で12600円。10代ならば「お年玉」のかなりな割合を巻き上げることになる。それに、9月21日に2枚組のグレイテスト・ヒッツ3150円なり(DVD 付きなら3990円)とライブ DVD 3150円なりを発売しているから、ファンの出費はすごい額になる。

 このブログでも多くの人が書いているように、この12曲をアルバムにして出してくれた方が聴きやすいし、安くなる。本人も「いつも新しいことに挑戦することが大好き」とのんきなコメントをしているが、視野にファンは入っているのだろうか。

 素朴な疑問。こんなことをするのは何のため? 誰のため?  シングルカット曲というのは、じっくり時間をかけてみんなに聴いてもらって、場合によってはその曲を歴史に残そう、というくらいの気合いで作るからこそ、アルバムもシングルも欲しくなろうというもの。

 かつては、シングルの連続リリースというのは、システムの問題だけでなく、ポリシーとしてもやっていなかったのだ。それが、今や当たり前のようにどのレコード会社も矢継ぎ早にくり出してくる。

 だから、1曲をじっくり長い時間かけて浸透させる余裕がない。あっという間に次の曲では、大ヒットが生まれるはずもない。大ヒットの減少が音楽業界の衰退につながっていることがなぜわからないのか。

 NANA のシングル「GLAMOROUS SKY」1835円にも驚いたが(この価格でいまだに売れ続けて40万枚に達したことにも驚くが)、倖田來未(正確にはレコード会社)も、あざとすぎないか。ファンから金を絞り取りすぎていないのか。

 

  06年1月23日CDの売り方を考える》