▼平川地一丁目はすごくいい
[2005年07月13日(水) ]

 

 平川地一丁目はいい。どんどんよくなっている。こんなに70年代フォークの香りがして、なおかつサウンドもメロディも歌詞も現代的に表現できるのは、どうしてなんだろう、と驚嘆し続けている。両親の影響を受けているみたいだけれど、それをここまで消化できるのは並大抵の才能ではない。

 私が最初に買った邦楽のシングルが水前寺清子の「365歩のマーチ」で、最新に買った邦楽のシングルがサスケの「永遠の夏/輝く明日の方へ」と、40年近くヒット曲を聴き続けていても、やはり聴き始めた頃の曲は思い入れが強い。つまり、70年代のフォーク系の曲には、どうしても心がうずいてしまう。そのテイストを持った中高生がデビューしたら、そりゃ驚く驚く。

 だって、兄(龍之介)は12歳、弟(直次郎)は10歳で始めたんだよ。今も17歳と15歳。どうして平然と、吉田拓郎(「夏休み」)や、はしだのりひことシューベルツ(「風」)のカバーができちゃうわけ。それもちゃんと自分たちのハートで解釈してる。不思議だ。声も今どき珍しくクリアでカッコいい。うーん、マジで超魅力的だ。2003年11月のメジャーデビュー曲「とうきょう」を聴いた時ははっきり言ってぶっ飛
んだ。ただものではない。

 おまけにポリシーまでしっかりしている。最新シングル「十六度目の夏」(これもまた一気に表現力が増した感じですばらしい)に収められている「背広姿のエラい人」の歌詞は、権力関係とか人間の業[ごう]とかがわかってないと書けないし、タイトルに象徴される人たちの本質を見事に描いていて、強いて言えばこれも70年代的で、ただただ感動するしかない。

 音楽業界につかり切らない姿勢もすごい。学校の休日に、佐渡島から上京して活動しているのだ。公式サイトの日記を読んでも、ふたりが高校生&中学生としての「生」を生きているからこそ、こういう音楽が作れるんだな、とわかる。どうか、ゆっくりと成長してほしい。周囲も急がずに、貴重な人材を大事に育ててほしい、そう願わずにはいられない。

 

    05年8月7日平川地一丁目》