すばらしい。やはり、これだけのアルバムをきちんと評価できない「音楽ライター」たちの目は節穴だ、と言うしかない。
w-inds.
の最新アルバム「Journey」にぎっしりつめ込まれた15個の宝石は、ロック、ポップ、フォーク、ダンス、R&B、そしてヒップホップと、今きらめいている音楽ジャンルの全てをカバーしている。
さらに驚くのは、それだけの多様な楽曲を見事に歌いこなしているばかりではなく、どの曲からも3人がダンスしているところがイメージできるくらい、音も声も躍動しているのだ。
うれしいのは1曲目の「THIS
IS OUR SHOW」に込められたメッセージだ。ファンたちといっしょにライブを創り上げていこう、こちらも積み上げてきたものすべてをぶつけるから、みんなも歌って踊って参加して……。
まさにその通りだと思う。受け身にアーティストからもらおうとするだけでは楽しめない。ファンも「飛ば」なくっちゃ。男の人たちも遠慮しないで、という意味のフレーズもうれしい。「男のくせに
w-inds.?」なんて言葉をぶっ飛ばそう。
ヒートアップをあおりつつ「喧嘩はダメ!」「R+K+R この相性…!!!」という部分も、橘慶太ソロデビューの時のネット情報による混乱を思い出して、ネットに乱舞する言葉ではなく、彼らの音楽から「感じる」ことの大事さを強く感じた。歌詞にもしっかり「Feel
it, don't think it」私自身の反省も込めて。
さらにこの「THIS IS OUR SHOW」には「Pop
とか R&B とか Rock とか ジャンルだってない…We don't care」という歌詞まである。ジャンルも気にせずステキな音楽をやっていこうというスタンス、カッコいいっす!
すごいなぁ。1曲目でアルバムのコンセプトをやばいほど語っちゃって、そしてその後それに応えて聴きごたえじゅうぶんの曲が続いていくんだから見事というしかない。でもこういう話、どこかで聞いたことない? そう大野靖之さんやケリーさん(堂本剛)の姿勢にも通じるんだよね。その共通項に震えがくる想いだ。 どこから
w-inds. のすごさを語っていいかわからないほどだけれど、「Devil」で見せてくれるヒップホップは、歌心やポリシーや優しさのないヒップホッパーよりも、何倍も訴えてくるものがある。
旅立ちを歌うバラード「Journey」は、生きていく道が苦しくても、仲間が、そして時には自分自身が、自分を温かく支えてくれることを、絵空事ではなく
w-inds. 3人の生き方を重ねてリアルに、伝えてくれる。
その後に続く「メッセージ」「地図なき旅路」も、このアルバムの中心に座るような曲たちで、生きることを旅にたとえつつ、私たちの内面から、たくさんのパワーを引き出してくれる。これらの歌に、希望や勇気をもらう人が必ずいるはずだ。 「愛」の表現も進化している。「Top
Secret」「Crazy for You」の強烈な情念を、強烈なリズムを通じて、全員が大人のセクシーさを体現する声で表現している。一転して「TRIANGLE」ではあぶない三角関係をさらりと歌ってしまう……。
ギターとコーラスワークだけで前半を聴かせきる「Is
that you」の優しさにホッとして、「遠い記憶」と「Celebration」ではポップスの王道をきわめるハッピーなメロディに爽快な気分になる。そして「Milky
Way」はしっとりと愛の一風景を切り取り、それに続く「Journey」以下の「核」への巧みなブリッジになっている。
以上の曲にすでに発売されているシングル3枚が加わるのだから、こわいものなしだ。そしてこのアルバムは「ご時世」に反して1種類発売。DVD
付きで高くなりすぎていたらムッとしようと考えていたら、3360円。何とか限界内の売り方に少し微笑む。
というわけで、DVD
はこれから見るので、後編へ続きます。