ウエンツ、いや鬼太郎がばっちり「ロック」した。
今までの WaT のイメージからすると、「ん?」と思う人もいるかもしれない。何しろ
PV では、激しくギターをかき鳴らし、とても力強くシャウトしているのだから。
でもこれが正解なのだと感じる。だって映画「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌なのだから(4月28日公開〜私も連休空けてから見に行く予定!)。
1960年代から、テレビでは10年周期でアニメ化され、いま5度目の放送がされている名作「ゲゲゲの鬼太郎」。「ひょっこりひょうたん島」の人形操演を担当した人形劇団ひとみ座も、人形で「ゲゲゲの鬼太郎」を公演したことがあるが、妖怪がたくさん登場するこの作品を実際の人間が演じるのはことのほか大変だと思った。
だから鬼太郎をウエンツが演じて初めて映画化される(テレビでは一度あり)と初めに聴いた時はぶっちゃけ心配だった。ウエンツの演技力ではなく、この作品が実写映画になじむかどうか、という点と、ウエンツが鬼太郎にしてはハンサムすぎるのではないか、という点でだ。
しかし原作者の水木しげる氏は、おおらかでアバウトだった。インタビューでウエンツがあれ以上ハンサムだったら断っていたかも、と冗談を飛ばしつつも、自分の作品がどう料理されるかを楽しんでいるようだった。
だからウエンツの鬼太郎は、強くなければならない。陰謀や不正や不寛容に負けないパワーを発揮しなければならない。それでこそ「リアル」な鬼太郎になる。
したがって、強くたくましいロックはこの映画に対して正解なのだ
強い「感情」に目覚め、自分の生きたいように生きると決断して、未来を信じて限界など考えず、「君」と一緒に前へ前へと進む。タイトル通り、「目覚めたばかりの感情」のパワーは、妖怪の持つちからにも通じる、大きく激しくそして優しいものだ。
軽快なドラムのビートに乗せて、歌詞も書いているウエンツは気分良く歌い上げている。ひとつひとつの言葉を、これ以上ないほど誠実に正確に発音しているからテンションも上がる。シンプルだけれども、彼の想いは確実にメロディやリズムに乗り、鬼太郎と同様に人間たちに対して光を放つメッセージを伝える。
聴くごとに鬼太郎が活躍する映画のシーンが想像できるようになる。曲は、Curious
K. つまり小室哲哉チームだから、サビをくり返しながら、後半へいくほど迫力を増す作りになっている。よくできた主題歌だ
すでに私は、何回もパートナーと一緒に予告編を見ており、映画を心待ちにしているひとりだ。それは「ゲゲゲの鬼太郎」に、不思議にエンパワーメントされて今日まで来ているからでもある。
私の事務所には「おとうさん」(目玉おやじを私たちは鬼太郎同様こう呼ぶ)のキャラクターグッズが10種類以上置いてある。「お父さん」とウエンツのからみも楽しみだ。
人間関係が息苦しくなりつつある世の中で、アバウトで多様で人間に理解されずらい「妖怪」たちの存在は、何だか私たちに、じっくり生きてみようか、という気を起こさせるのだ。そしてどうやら、他の映画評などを見ても、ウエンツは好演しているようで、鬼太郎にふさわしいキャラとして映画史に残りそうに感じる。さらにここで得たたくましさが
WaT へどう返っていくかも興味深い。
カップリングの小池徹平「my brand new way」も、そんなウエンツを応援しているかのような、向かい風にもめげずに自分の道を歩いていこう、という前向きな曲(ロート製薬
CM ソング)。
自作曲で、語りかけるように優しく歌う歌い方にはますます磨きがかかって、「新しい道 君と歩こう」なんて歌詞も今まで以上にリアルに聞こえる。ほんのりと明るいメロディもとても似合っている。
「こんなにも愛するべき すべてに囲まれて生きているんだ」という歌詞は経験を積んで生まれてきたものだろうし、「支えてくれる君がいるから」的な歌詞に対してはウエンツの存在の大きさを感じずにはいられない。
そしてすごいのはボーナス・トラック。ウエンツを応援する意味で小池徹平が、テレビアニメでずっと歌われているあの「ゲゲゲの鬼太郎」を歌っているのだ! イントロからしてアレンジがおしゃれだし、さわやか系声質の小池徹平が歌うと、どうなることかと心配したが、これがいける。
いつもよりけだるくアバウトに歌い、せかせかと生きている人間と違う妖怪たちの世界に見事にはまっていたりして……。いゃあ、WaT
ふたりの表現力は、俳優としてのものも含めてとどまるところを知らずに成長しているようだ。