▼バラエティが人間を壊す その3
[2005年09月29日(木) ]

 

 先週に引き続きリアルタイムで『水10! ワンナイR&R[Special]』(CX系)を見ている。本当に身体に悪い。 Gorie with Jasmine & Joann の「Pecori■Night」と、くずの「その手で夢をつかみとれ!」が対決し、セールスが低かったくずを応援していたペナルティのワッキーが罰ゲームをやらされた[詳しくはこちらをクリック]。

 まず深夜3時に東京・新橋駅前にだまされて呼び出されたワッキーに、にせの報道陣が30人集まって取り囲み罰ゲームに臨む気持ちをつっこむ。するとビルの電光掲示板に「罰ゲームはくずの曲にあやかって『その手でサメをつかみとれ!』」と出る。

 翌朝、ワッキーが家を出て、11年かけてようやく手に入れた愛車(ワゴン)の駐車場へ行くと、白かったワゴンがピンク色の「あいのり」仕様に塗られている。文字は「あいのり」ならぬ「わるのり」。

 「どれだけの想いして買ったと思ってるんですか、いちばんあんたらが知ってるでしょう」と現れた出演者たちに怒るワッキー。当然である。大事なものにここまでされて黙っている方がおかしい。

 場面はどんどん変わる。罰ゲーム会場にその車で向かう途中、「あいのり」本編でふられたタカノがいて、こじつけでワッキーに激怒し、ワサビパイを顔に投げつける。ワサビが目に入って痛くてのたうち回るワッキー。

 ここまででも、もう誰が見ても拷問であり、正視できない。この原稿を書くためでなければ絶対にテレビを消す。

 次に港へ行き、ワッキーはクレーンで20mの高さにつるされ、バンジージャンプをさせられて、その手でサメをつかむまでやらされるのだという。まず練習。うしろでディレクターが飛べとばかりにケリをいれる。「自分のタイミングでやるから」と懇願するワッキー。

 下では出演者が笑いっぱなし。「オメー、アイドルじゃねーんだから早く飛べ」など好き勝手な罵声を浴びせる。これが「いじめ」でなくて何だろうか。 全く笑えないコントを挟んで、「バラエティ史に残る奇跡の爆笑バンジー」とコーナータイトルが付き、バンジーが始まる。マジでべそをかきながら飛び降りるワッキー。

 以下本番で、サメの浮袋を水面においてつかむまでバンジーを続ける……はずが4回目でワッキーはサメの代わりに本物の魚をつかんで舞い戻る。しかし見ていた出演者は「仕込み」(前もって用意したネタ)だバカバカしいと、ワッキーをおいて帰ってしまう。

 本当に気分が悪くなってきた。もはや「やらせ」かどうかも関係ない。この罰ゲームの過程で、実に効率的に「いじめ」のテクニックや、人をいじめる時にいかに相手を傷つける言葉を投げつけるかを学習できる。それでいいのか、『水10』。

 ゴリエとくずの曲を聴きたくなくなるのが悲しい。

 

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