学校の英語教育は、的外れ、不親切、時にはウソであふれています。“on
the desk”を「机の上に」と習うので、“on the ceiling”や“on fire”を「天井の上に」「火の上に」と訳すと間違いだと言われてしまいます。さらに「“on”には2つ以上の意味や用法があるんだから覚えとけ」なんて言われて「あ〜また覚えんのか」とイヤになってしまった人もいるでしょう(この「用法」って勉強意欲をそぐ感じ悪い言葉ですね)。
でも、ここには実は胸がすーっとするある規則が隠れていて、それを知れば、“on”を日本語に置き換えるのが容易になるばかりではなく、いろんな応用的発想ができるようになり、英語が楽しくなっていくんです。どうしてそれを教えられる教員がほとんどいないのでしょうか?
日本の学校では、歴史的に、子どもの立場に立ってどんな授業をしたら最もわかりやすいかよりも、とにかく詰め込むことを優先しそれに耐えられる子どもだけを優遇してきました。特に英語は、「語学だから」と考えずに「暗記すればいい」がまかり通ってきたのです。
しかしこの“on”など、この単語のもともとの意味を知るだけで、いとも簡単に使い方が理解できてしまいます。“on”は、“on
A”で「Aにくっついて」という意味が基本中の基本です。その「くっつき」方は問いません、とにかくAに接触していれば“on
A”で、抽象的に「くっついて」いる場合にも使えます。
したがって、“on the desk”は「その机にくっついて」いる状態を表すのですが、通常、机と物体の関係は、その上に乗っかっていることが圧倒的で、机の裏や側にセロテープで貼ってあるのは盗聴器くらいなものです。ですから、英語を話している人々は、“on
the desk”は「その机にくっついて」と本当に考えているわけで机の性質から上にあることを容易に想像できるわけです。そう、ですから、“on”を「〜の上に」と覚えるのは間違いなんですね。
こうなるとどんどんわかって来ます。“on
the ceiling”は「天井」と物体の関係を考えれば、その上の屋根裏にいるのではなく「天井に」付いているのであり、“onfire”は火にくっついているのですから、「燃えて」という意味になります。比喩として「熱中して」と訳すときがあることも納得できるでしょう。
まだまだ応用範囲はとどまることを知りません。“I
depended on him.”(「私は彼に頼る」)“Lean on me.”(「私に頼って/もたれて」)にどうして“on”が登場するかまでわかってしまいます。頼る、もたれかかる、依存する、といった行動は明らかに、その相手(対象)に「くっついて」いくわけですから。
こんなに世界が広がるちょっとした知識を多くの人たちが知らないでいるというの
は超極めてもったいないことです。