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目からウロコのラクラク英語術

英語術4 どうしても日本語には訳せない単語

 どうしても日本語には訳せない英単語がある、といったら驚きますか。それも、中学校で英語を習い始めてすぐ覚える単語の中にあるんです。そんな難しい単語を英語学習の最初に持ってくるなんて言語道断だと思いませんか。実は、その単語は、“sister”と“brother”です。

 英語を話す人の文化では、親を最低ひとり同じくする(定義が難しいですね、または契約で子どもとなる、まで言わないと正確になりませんね)女の子を“sister”、男の子を“brother”と呼びます。生まれた順序は全く問いません。したがって、日本語では区別される「妹」と「姉」、そして「弟」と「兄」は、それぞれ完全に同じ言葉で表されます。それで困らないのか、と思う人もいるかもしれませんが、これが文化の違いで、姉妹兄弟内の優劣は、かつて長男が財産を優先的に相続していた日本ほどは重視されないのです。

 もちろん、かつては年上に“older[elder]”、年下に“younger”を付けて区別していましたが、現代ではその必要性がさらに薄くなり、とりわけ日常生活で使われる場面がだいぶ減っています。

 だから、中学生から翻訳家まで、“sister”と“brother”をどう訳すかは、大問題です。なにしろ、「妹」と「姉」、また「弟」と「兄」をひとことで言い表す言葉は日本語にないのですから。まとまった小説や論文などで、生まれた順序がわかる場合は、「妹」「姉」にしてしまいますし、実際に資料などで生まれた順序を調べる翻訳家もいます。

 もっと困る単語もあります。“sibling”は、女性・男性の別なく、親を最低ひとり同じくする子どもを指します。こんな単語があること自体、年齢と性別にけっこうこだわる日本語的発想がグローバルでないことがわかって、頭が柔軟になりますね。

 さらに“they”も曲者です。時々、登場人物が女性しか出てこない英文を訳していて、この“they”が出てくると、思わず「彼らは」としてしまう人が意外といます。“they”はもちろん、“she”“he”“it”などの複数形なので、前後関係から「彼女たちは」「彼らは」「それらは」などと訳し分けなければいけないわけです。思わず「彼らは」になってしまうのは、そこから習い始めることと、日本文化の男性優位が反映されているのかもしれません。

■目からウロコのラクラク英語術 バックナンバー

 ・英語術1 “on the desk”
 ・英語術2 “He was killed in the war.”
 ・英語術3 “Nobody but her knew the fact”