著作権をもつ側の「上から目線」
 [THE BIG ISSUE 2008年12月1日号]

 

 最近、中学・高校・大学等の入試問題集を見ると、国語の問題が掲載されていないことがある。出題に使われた文章の著者が掲載を許諾しなかったからだ。ちょっと心が狭いかな、と思ってしまう。というのは、知り合いの受験生から、問題演習をしていてかなりおもしろそうだと思った文章はその全部を読みたくなり、本を買うことがけっこうあると聞いたからで、そんな形で文学や評論にふれていく可能性がなくなるのはもったいない。

 テレビでも似たようなことがあり、社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)・実演家著作隣接権センター(CPRA)が今「放送番組に出演された方を捜しています」キャンペーンを行っている。テレビで放送された番組を再放送などで二次利用する際、出演者の許諾がやはり必要になるのに、その出演者の行方がわからないからだ。古いテレビ番組を観るのもなかなか大変になってきている。

 著作権とそれに関連しての権利(著作隣接権〜出演者など)については、はなはだしく扱いが厳しくなっている。その根拠によくあげられるのが、インターネットを通じての、音楽や動画のダウンロードだ。著作権をもつ側や管理する側からは、利益を奪う極悪人のように言われている。

 しかし、世界的に日本の CD の価格が高いことや、質の高い音楽やテレビ番組を作る土壌が失われていることについては、決して関連して語られない。世界の趨勢は、ネット排除ではなく、ネットとの共存で、割り切ってタダあるいは安い価格で音楽や動画を配信し、それを武器に付加価値を付けた CD や DVD に消費者の関心をもっていこうとしている国や州も少なくない。

 逆説的だが、インターネットに書き込まれる消費者の意見を見ていると、すばらしいアーティストや作品に出合えば、それをヴァーチャルな「コンテンツ」としてではなく、形あるものとして手もとに置いておきたい、という志向性はまだまだ強いと感じる。いまテレビでは、旬のヒット曲をじっくりかつ網羅的に聴かせてくれる番組はまったくない。過去の名番組を発掘して放送することも地上波では少ない。ネット以外では「出合い」がないのだ。YouTube で名場面を見て、映画やテレビ番組の DVDを買う人も多いし、「違法」ダウンロードで聴いたアーティストを好きになり、ライブにまで行くようになる人もいる。そんな人間の心理を読み間違ってはいないだろうか。

 著作権をもつ側や管理する側の「上から目線」がどうしても気になってしまう。

 

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