テレビを信じこまない感性とは!?
[THE BIG ISSUE 2008年4月15日号]

 

 週刊『TV ガイド』(東京ニュース通信社)は、まれにみる長寿雑誌になっている。米国『TV GUIDE』誌の日本版をめざして創刊されたのが1962年。まもなく50年になる歴史がある。東京オリンピック以降のテレビの普及とともに、テレビ番組の情報を早く正確に得られるという点で競合誌の追随を許さず、独走を続けた。

 しかし80年代に入って『ザテレビジョン』(角川書店)が若い層に訴える誌面づくりで、オールラウンドな『TV ガイド』に対抗、さらにインターネットの普及とともに番組情報もネットで簡単にタダで手に入るようになって苦戦を強いられてくる。

 そして現在は、創刊当時の面影がない雑誌に変化してしまっている。毎週の表紙の大半を飾るのはジャニーズ事務所のタレント。ファンたちも、テレビ情報誌としてよりは、ジャニーズ系タレント情報&写真誌として買っている。『ザテレビジョン』の方も大差ない。要はこれしか売れる道がない、ということなのだろうか。

 1960年代の『TV ガイド』では読者の投稿欄が充実していて、鋭い番組批判も掲載されていたし、芸能ゴシップを売りにしていたけれども、それゆえにテレビ業界に対して苦言も呈していた。

 しかし今この両誌以外のテレビ情報誌も含めて、テレビに対する評論を期待することは困難だ。タレントを管理する事務所の力も、テレビ局の力も、どちらも強大になり、誌面にタレントや番組の批判など載せたら直ちに、番組表の提供が受けられなくなり、タレントの取材や写真掲載ができなくなるだろう。

 一般誌でも事件が起これば叩くけれども、日常的なテレビ評論は極めて少ない。テレビという大きな影響力を持ったメディアを評論するメディアはないというのが実態なのだ。

 先日知り合いの中学校の理科の教員から、「『マイナスイオン』商品が宣伝されているけれど、『マイナスイオン』は科学用語ではなく誇大広告が多い」と授業で話したら、「先生それウソでしょ、テレビでホントだって言ってたよ」と強く反論されてショックを受けたという話を聞いた。私もインターネットでテレビ番組批判を書いて番組擁護派からありえないバッシングを受けて驚いたことがある。

 それだけテレビに対する無意識的で無前提的な信頼が広まっているとなると、ネットもメディアも期待できない中で、私たちがテレビを信じ込まない感性をどう磨いていくのか、重い課題である。

 

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