私は、ボランティアとしてもまた仕事としても、カウンセリングをしています。また、大学の非常勤講師や英語の個人指導をする中で、若い世代の相談を受けることも少なくありません。
そんな中で最近目立ってきたのが、「自分に自信を持てない」、さらには「自分を好きになれない」という声です。自分自身をそのまま受け入れて「大事な存在」だと思えないために、失敗やつまずきはすべて「自分のせい」にしてしまい、親・教員・上司に反抗どころか反論もできず、社会の影響を考慮に入れることもできません。
そこまで至った経緯を尋ねていくと、小さい頃から誰にもほめられたことがないという事実に突き当たります。いつも一本の物差しで測られて他者と比較されてしかられ、いいところを見つけてくれるどころか、些細な欠点ばかりをあげつらわれます。
かつて、自分の子どもだというだけで大切にしてくれて「あなたはあなたのままでいいんだよ」と言ってくれた親や地域の人たちはすっかり姿を消しています。さらには社会も多様な生き方に対して寛容でなくなっています。
いま高校生のAさんは、中学でいじめにあって、それを「怒り」と言う形で表現したところ、担任はその「怒り」をとがめるだけで、Aさんがいくら伝えようとしても、怒った原因を決して聞いてくれなかったそうです。もともと日本の社会が持っている傾向ですが、ひどい目にあって感情をあらわにしても、感情的になった方が「大人げない」などといさめられ、傷つけた側は問われない傾向が強まっています。自分が優位に立ち、誰かをいじめて自己確認する傾向にも通じます。
人の想いに耳を傾けよう、という大事な姿勢が薄れていることを改めて考えてみませんか。