国会をもっとテレビの「素材」に!
[THE BIG ISSUE 2007年3月15日号]

 

 実は、テレビ番組の中でいちばんおもしろいのは「国会中継」かもしれない。各議員をはじめとして、首相・閣僚・官僚の言葉のやりとり(「議論」とはとても言えない)は、意外にそれぞれの人間性がにじみ出るもので、ふだんわからない政治家たちのリアルな姿がかいま見られるからだ。

 強引な立論や反論、質問より長い自分の業績披露、手に持った台本とどれだけずれるか(アドリブ力)など、見どころ満載だ。口汚いヤジを聞けば、この国の中で正すべきはまず国会であることがよくわかる。

 国会中継は NHK が担っているわけだが、NHK だからこそ多くの時間を割いて国会の審議を電波に乗せるべきなのに、大事な審議や NHK そのものに関する審議がカットされることもあり、方針が揺れている。もっと放送時間を増やしてもいいのではないか。

 NHK は何のデフォルメもなく、淡々と国会で行われていることを放送している。解説も編集もなく、そのまま情報として見る側が活用できる「素材」は不可欠なので、この方針は堅持してほしい。

 国会をもっと取り上げてほしいのは民放だ。ささいなトラブルやスキャンダルを大げさに扱い、いかにも大事件であるように仕立てるのは、ワイドショーの得意とするところなのに、ほとんど国会はタブーになっている。

 なにしろ国会では、暴言・失言は山のようにあるし、やりとりにおける心理分析などたまらなくおもしろいだろう。トークのうまさを採点したっていい。この答えはタテマエだ、おっと思わずホンネがでた……すでに手持ちの「盛り上げる」技法を使えば、じゅうぶん視聴率にもつなげられるショーアップができるはずだ。

 国会はそうした「素材」の宝庫であるのに、自主規制的に大々的に取り上げるのを避けている感じさえある。

 しかし日本テレビ系「太田光の私が総理大臣になったら……秘書田中。」では、爆笑問題の太田光が総理大臣、その相方である田中裕二が秘書という設定で、国会議員を含むゲストが出したマニフェストを、かなりきっちりと筋道を立てて議論していく。つまり、国政レベルの話題をテレビ番組として成立させることは可能なのだ。

 この番組はそのマニフェストだけを見ても興味をそそられる。「参議院を廃止します」「『いじめをなくそうという』スローガンを禁止します」「憲法九条を世界遺産にします」など。この中には爆笑問題や太田光が本として出版しているテーマもある。

 だとしたら、もっと国会や政治の場で起こっていることを番組化していくべきだし、それは十分視聴率競争の中でも可能だと思われる。少なくともワイドショーでも愉快な「こだわり」を持って(議員のファッションからでもいい!)コーナーにしていけば、私たちと政治が本当大きく結びついていることが見えてくるだろう。それはテレビの責務だ。